ビタミンF 重松清

評価:
重松 清
新潮社
---
(2000-08)

重松清の7つの短編集です。

ビタミンFはないそうです。
ないから書いたそうです。

体にいい小説をめざして書いたそうです。

family、father、friend、 fight、 fragile(壊れやすい)、fortune(運命)、

Fで始まる言葉をキーワードにして書いたそうです。

1)ゲンコツ、
2)はずれくじ、
3)パンドラ、
4)セッちゃん、
5)なぎさホテルにて、
6)かさぶたまぶた、
7)母帰る

「ゲンコツ」
ニュータウンに住む加藤雅夫が主人公。
この話のFは父親だと思う。
駅の周りでたむろしている若者を恐いと思いながらも家に帰る。
何か事件が起こりそうな予感で、
ドキドキしながら読む。
ハッピーエンドに近いが、
スッキリ解決しないまま終わる話。

「はずれくじ」
Fは運命、幸運かな。
主人公の修一の妻淳子は入院をしている。
息子の勇輝は最近悪い仲間と付き合っているようだ。
気の弱い勇輝は使い走りをされているらしい。
修一の父親が昔、
宝くじを買っていた。
当たったら、
その金でどこかに逃げたいようだった。
40代の男は、
この人生は間違ってなかったのだろうかと考えたくなる年頃なのだろうか。
そんな話が多い。

「パンドラ」
ニュータウンに住んでいる孝夫の娘の奈穂美は中学生。
男と付き合っているようだ。
自分の若い頃の恋愛と妻とのいきさつを思い出す。
恋愛相手の美由紀さんの電話番号を友人から聞き出す。

「セッちゃん」
雄介の娘の加奈子は中学2年生。
クラスでいじめにあっている。
加奈子が最近しきりにクラスでいじめにあっているセッちゃんの話をする。
加奈子が来るなと言っていた運動会に夫婦でこっそり行って、
ダンスの振り付けでみんなに無視されていたのは、
セッちゃんではなく、
加奈子だと気づく。
担任とも話し合う。

「なぎさホテルにて」
達也は、
なぎさホテルに、
独身の頃に恋人の有希枝と来た。
妻とは離婚も考えている仲だ。
37歳の誕生日の前に着く未来ポストの手紙がホテルから届いた。
その中にホテルの優待券が入っていたから、
家族4人で来た。
ホテルの受付で、
妻に内緒で、
妻の名前を有希枝と書いた。

「かさぶたまぶた」
政彦には、
高校3年生の秀明と小学6年生の優香がいる。
優香は学校に提出する自画像が描けなくて困っている。
政彦はなんでもできる男で、
誰にでも厳しいと家族にも思われている。
堅苦しい関係をくずして、
弱い一面も見せられるようになったら、
家族は再生するだろうか。

「母帰る」
37歳になる拓己が主人公。
姉の和恵は一人息子の翔馬と暮らして、
浜野とは離婚している。

母親は拓己が結婚すると、
父とは熟年離婚をして家を出た。
中村という男と一緒に暮らしたが、
籍は入れず、
中村が死んだ。
その事を知って、
父親はまた母と暮らそうと思っている。

拓己と和恵は母親を許せないから、
帰ってくることに反対する。

しかし、父は年老いてきて、
自分は都会から帰って来られない。

この話はいい方向に解決して、
内容も解かりやすかった。

この話のFは「家族」でもあると思う。


人気ランキング

ランキングに参加しています。クリックお願いします。

JUGEMテーマ:読書
 
posted by: 本の虫 | 重松清 | 18:48 | comments(0) | - |

ステップ

評価:
重松 清
中央公論新社
¥ 1,680
(2009-03)

重松清の小説です。
重松清の小説を好きではないのですが、
読みやすいので、
ついつい手にとってしまいます。
書き方のテクニックが上手で、
こんな書き方をすると読者受けするのがわかっているような書き方のところが嫌いです。
驚きがないので退屈します。
でも簡単な言葉の表現がわかりやすくて、
読みやすいので、
あっという間に読めるのでいいです。

この話は、
母親を1歳半の時に病気で亡くした娘とその父親の話です。

私が重松清の小説を好きでない理由はもう一つ、
出てくる男が魅力ないところです。

真面目で、
なんでもわかっているような、
人の為に生きているような、
いい子ちゃんの男です。

やんちゃとか、
無鉄砲がない男です。

それでも、
最後は泣きました。
泣ける小説を読みたい人にはお勧めです。
私はすきではないけれど、
お勧めできる小説なので、
☆4つにしました。



人気ランキング

ランキングに参加しています。クリックお願いします。


JUGEMテーマ:読書
 
posted by: 本の虫 | 重松清 | 09:49 | comments(0) | - |

流星ワゴン


評価:
重松 清
講談社
¥ 1,785
(2002-02)
重松清の小説は読みやすいので、
つい手に取ってしまいます。
この小説は、
50代の私が読むと、
気分が少し落ち込みます。

人生に嫌気が差して、
もう死んでもいいと思っている男が、
家に帰る時、
駅にワインカラーのオデッセイ(ワゴン車)を見つけます。

そのワゴン車に乗り込み、
過去の世界に戻って、
やり直しをします。

現実の世界では、
このやり直しは現れませんが、
男が変わっていきます。
不思議な事に、
その男の風体は詳しく書かれているわけではないのに、
私の頭の中では、
ワゴンに乗り込む前の男と、
ワゴンを降りた男の顔が変わっています。
それは、乗る前の男は、
ドラマで脇役を演じる俳優やアナウンサーのような男だったのに、
ワゴンを降りた男は、
主役を演じられる良い顔の男に変わっているのです。

男は、
心が落ち着いていて、
優しさがあると、
顔まで良くなってくるような気がします。

長い小説なので、
読み終わるのに時間がかかりました。

人生で大切な事って、
身近な人との関わりです。

意地を張らないで、
自分が変わって、
人を受け入れると、
なんとかなります。

この小説で、
字の間違いを見つけました。
140ページに、
「チュウ」さんを、
「チョウ」さんと書いてありました。

誤字を見つけるのも読書の楽しみの一つです。

人気ランキング

ランキングに参加しています。クリックお願いします。

JUGEMテーマ:小説/詩
 
posted by: 本の虫 | 重松清 | 17:24 | comments(0) | - |

ブランケット・キャッツ

評価:
重松 清
朝日新聞社
¥ 1,575
(2008-02-07)
この本は7つの短編小説です。

重松清の本はたくさん読みました。
最初の頃の小説はお金を稼ぐために書いているようで、
内容が優しくないので好きではありませんでした。
最近は、文章に優しさがでてきたようでよく読みます。
重松清の本は読みやすいです。

子どもの頃は犬を飼っていたので犬派でしたが、
引っ越してきて近所に野良猫がいるので、
最近は猫派になりました。

この短編は全てペットショップのレンタル猫の話です。
バスケットの中に敷いたお気に入りの毛布があれば、
どこに行っても大丈夫なように訓練された猫たちと、
関わった問題ありの人間たちの話。
猫と一緒にいる二泊三日の時間で人間達は自分について考える時間を持つ。
これは何も言わない、
何もしない猫の性質だからこそ生まれる話のように思う。
犬だと優しすぎるので、
人間は自分を見つめる時間を持ちにくいと思った。
猫にしたからぴったりだと思った。

読書「花粉症のブランケット・キャット」
「妊娠はまず不可能だろう」と医師に宣告された夫婦が主人公。
医師に宣告されてから7年間けんかはしていない。
子どもが生まれることを想定して買った家は広すぎる。
寝室は別にしている。
夫が猫を借りてきた。
借りてきてさっそく公園に行ってみた。
子どもがいたら公園デビューってこんな感じかな。
レンタル猫は毛布の入ったカゴの入口を開ければ、
戻ってくるよう躾けられている。
公園で放してみた。
花粉症のようにくしゃみをする猫なので、
居場所はなんとなくわかる。
猫は大変なものを銜(くわ)えてきた
夫婦二人の関係が、
猫と関わる様子を読んでいるとわかってくる。
猫と接した二泊三日は、
二人のこれからを考える機会になる。

車「助手席に座るブランケット・キャット」
離婚暦ありの一人暮らしの女が借り主。
会社の金を横領して、
逃走にメルセデス・ベンツを借りてみた。
助手席には「クロちゃん」と名づけた猫が座る。
猫はただそばにいるだけのようだが、
借主の心のささえになる。

猫「尻尾のないブランケット・キャット」
中一の少年が借主。
父親と借りに行った。
口うるさい父親。
自分の思い通りにならないと突き放す父親。
思い通りになる優秀な息子なら好き。
問題ありの父親と、
問題を作ってしまった少年の話。

本「身代わりのブランケット・キャット」
以前飼っていた猫に似ているのを借りた。
老人ホームに預ける事に決めた母親を最後に預かる。
母が気に入っていた「ロンロン」の代わり。
母は認知症が出るが、
正常な話し方をする時もある。
その受け答えにドキッとすることがある。
母親を老人ホームに預ける事に後ろめたさがあり、
決心が決まっていなかった夫婦。
子どもは姉と弟の二人。

ドア「嫌われ者のブランケット・キャット」
ペット禁止のアパートの大家が借りてくる猫。
毎月、その猫を抱いてアパートの廊下を通る。
飼われているペットは鳴き声を出して見つかってしまう。
見つかったら一ヶ月以内に飼い主が追い出される。
追い出されないためにいろいろ工夫をするカップルと大家の話。

子供「旅に出たブランケット・キャット」
家出した兄妹の二人と出会い、
二人を守る勇気ある猫の話。
二人は本当の母親に会いに行くためのヒッチハイクの旅。

財布「我が家の夢のブランケット・キャット」
父親のリストラで、
家を売る事になった家族。
娘と息子は学校を転向する。
姉の方はこんな事になってしまったのは父親のせいだと思っているので、
反発する。
父親はこの家の最後に猫を飼う想い出をプレゼントしようと、
猫を借りてきて、
ビデオカメラをまわす。
猫のめちゃくちゃな行動がみんなの心を変える。

人気ランキング
1日1回クリックお願いします。


JUGEMテーマ:読書


JUGEMテーマ:小説/詩


JUGEMテーマ:注目★BOOK


JUGEMテーマ:気になる書籍


JUGEMテーマ:Book review


posted by: 本の虫 | 重松清 | 09:45 | comments(0) | - |

卒業

評価:
重松 清
新潮社
¥ 1,680
(2004-02-20)

重松清の本は読みやすいので何冊か読んでいます。
「卒業」は4つの短編集です。

「まゆみのマーチ」
「あおげば尊し」
「卒業」
「追伸」

「まゆみの・・・」では、子育てで一番大切なことは、
大好きという言葉を、
子供にいっぱい伝えることだと改めて思いました。
「追伸」は、最後の方で涙が出ました。

人気ランキング
1日1回クリックお願いします。


JUGEMテーマ:小説/詩


posted by: 本の虫 | 重松清 | 20:58 | comments(0) | - |

青い鳥


評価:
重松 清
新潮社
¥ 1,680
(2007-07)
重松清の本は割と多く読んでいます。
でも 感動した本や好きな本はありませんでした。
読みやすいし流行っているから読んでいました。
今回も期待せずに読み始めましたが、最初の話から引き込まれました。
8話の短編小説です。
最後の『カッコウの卵』はぼろぼろに泣いてしまいました。
中学校の国語の非常勤講師の先生と教え子の物語です。
村内先生は吃音です。
カ行やタ行や濁音はどもります。
顔を真っ赤にして一生懸命話します。
一人ぼっちの子に、
「間に合ってよかった」
と言います。
心からの優しさがひとりぼっちの寂しい子の心を救います。

『ハンカチ』
家では話せるのに学校では話せない、
場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)という症状の女の子の話です。
ポケットの中にはいつもハンカチが入っています。
ぎゅっと握っています。
この症状の子を実際に二人知っているので、
珍しい病気でもないようです。
卒業式では、クラスで卒業の言葉を割り当てで言います。
卒業証書授与では返事もあります。
本人は当日は学校を休むつもりでいますが、
先生やクラスの人はどうするのか気になっています。
臨時の担任の村内先生も名前を呼ぶ練習をしますが、
PTAの反対もあって、
元の担任がその日だけ来て名前を読むことになりました。
この話も最後は感動です。

『ひむりーる独唱』
草野心平の詩集の中に「ひむりーるの詩」があります。
友達のいない主人公が、
アーミーナイフを学校に持ってきて先生を刺してしまいます。
夏休みに預けられていた祖母の家で蛙を112匹も殺すような子です。
先生が訴えないので釈放されて学校に戻ってきます。
その時に村内先生と会います。
先生の救い方は感動するようなものではありませんが、
心に届くようです。

『お守り』
交通事故の被害者と加害者の家族の話。
立場を変えて考えると思いやりも出てくるかもしれない。
しかし、現実は自分の方からしか考えられないのが普通だ。
バスケット部に所属の中学生の女の子の話です。
おまもりは父親が買ったものです。
村内先生に会ってから、
勇気を出して一歩行動に出ます。

『青い鳥』
いじめで自殺を図った子のいるクラスの話。
父親の経営するスーパーの品物を持ってくるように言われる。
クラスのほとんどの子が罪の意識を持たずに彼からの品物をもらう。
いじめられていた野口君は首つり自殺を図るが、
母親に発見されて助かり 転校していく。
主人公はそのことを後悔している男子。
村内先生と話をして、野口君のことをたくさん考える。
以前強制的に書かされた作文を書き直す。

『静かな楽隊』
中学受験を失敗して公立中に来た勉強のできる女の子。
我がままで意地悪で取り巻きがいる。
その子の小学校からの同級生の女の子の話。
緊張しすぎていつも失敗する女の子。
古いカスタネットにセロテープを貼って音がでないようにした物を
ポケットに入れている。
村内先生のドモリ方とリズムが合う。

『拝啓ねずみ大王さま』
父親が鉄道自殺をした男の子が主人公。
父親が死ぬ前にハムスターを買ってくれた。
3人家族が2人家族になってしまった。
私立中だったが、公立中に転校した。
勉強はよくできる。
学校にはなじめない。
マラソン大会や、クラス対抗ムカデ競争がいやだ。
村内先生と話して少し変わっていく。

『進路は北へ』
エスカレーター式の私立学校の中で、
いじめを受けて、ひとりの女の子が転校した。
それからその子の事が気になって、
この学校がいやになる女の子が主人公。
公立の高校を受験する事にする。
学校の担任は受験に反対だが、
村内先生が助け舟を出してくれる。

『カッコウの卵』
村内先生の教え子で、
卒業した男が先生を見かける。
是非自分の家に来てもらいたくて先生を捜す。
不器用な男で事件になりそうな所で村内先生に会える。
感動の物語です。
ぼろぼろ泣ける物語です。
ぜひ、 オススメします。
特に学校の先生に読んでもらいたいし、
映画やドラマになるといいなと思いました。

人気ランキング
1日1回クリックお願いします。

posted by: 本の虫 | 重松清 | 20:23 | comments(4) | trackbacks(1) |