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評価:
奥田 英朗
講談社
¥ 1,470
(2006-01-21)
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奥田英朗の本は、
『
空中ブランコ』が最高に良かったです。
あんなにおもしろい本が書ける人と思うと安心して読めます。
今回は「
ガール」を読みました。
「ガール」は30代のキャリアウーマンが主人公の短編が5つ書かれています。
☆
ヒロくん
35歳のキャリアウーマンの話。
子供なし、配偶者あり。
年上の男の部下がいる課の課長に抜擢される。
年上の部下の男との仕事関係の悩みを夫のヒロくんと比較しながら考えていく。
☆
マンション
34歳独身のOLゆかりが主人公。
親友のめぐみがマンションを買ったと言う。
マンションを買うということは周りからは結婚をあきらめたと思われかねない。
会社はいつでも辞めてやるくらいの強気で自由に勤めていたのに、マンションを買おうと決心すると、保身にまわる。
ローンを考えると、辞めさせられないように、
目立つ事はできなくなる。
納得いかない事にも強く言えなくなってくる。
そんな葛藤をしながらも、マンションを考えていく。
本屋には、女性用のマンション購入雑誌のコーナーが増えているそうだ
☆
ガール
32歳、広告代理店勤務の滝川由紀子が主人公。
38歳のお気楽で明るい先輩を見ながら、
自分の年齢を考える。
時には落ち込み、時にはまだいけると自信を持つ。
揺れる心で、自分は何を目指すのか考える。
同窓会、スノーボード・ツアー、ファッションショーの企画などのイベントで、自分の年齢や女について考える。
奥田英朗は、男なのに流行の服装の名前を使う。
どういう人なのか気になってくる。
人間観察が上手なのだろう。
☆
ワーキング・マザー
離婚して一人息子を育てる36歳の女が主人公。
小学1年生の息子は学童保育とホームヘルパーに預けて仕事をする。
息子は手のかからない、物分りのいい子なので、
仕事にやりがいを求めたくなり、営業部に希望を出す。
張り切るが、周りに遠慮や気遣いをされていることに気付く。
同い年の女と仕事のことで、バトルが始まる。
心からの謝り方をこの話から学んだ。
☆
ひと回り
営業課の35歳OLが主人公。
独身の小坂容子が新人の指導員を任された。
新人は、ハンサムで、長身でスポーツマン、性格もいい。
どこの課に紹介しても人気者。
会社中の独身女性が意識している。
主人公も一回りも違うのに意識してしまう。
奥田英朗は、女性かと思うほど、
女性心理をよく知っている。
服装まで、名称やどんな組み合わせが、
T・P・Oに合うかまで知っている。
奥田英朗はすごい。