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評価:
連城 三紀彦
新潮社
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(1987-08)
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連城三紀彦(れんじょう・みきひこ)の短編小説です。
「恋文」
編集者勤務の竹原郷子は夫と息子の3人暮らし。
夫の将一は元同級生の江津子に再会し、
江津子の余命のために、
郷子と別れて、
江津子と結婚することを決める。
郷子は少年のような心の将一に頼まれて、
将一の従妹として江津子に会う。
江津子に気に入られ、
お見舞いを重ねるうちに仲良しになる。
病院で江津子の最後も看取る。
こんな小説は男目線の話だと思った。
現実にはこんな女はいないと思う。
女から見ると後味の悪い小説だ。
「紅き唇」
和弘は妻の文子を結婚3ヶ月目で亡くした。
文子の母親のタヅが一周忌を過ぎた頃にやってきて一緒に住み始めた。
タヅは口が悪く、
気が強い女なので、
長女夫婦とけんかをして追い出された。
和弘の新しい彼女の浅子もタズの件で喧嘩してしまう。
長女の元にすぐに帰るだろうと思っていたが、
一年暮らした。
洗濯や食事を作ってもらった。
タズは浅子に気を使って、
和弘に仲直りを勧める。
パチンコに和弘とタズの二人で行って、
玉を口紅に交換する。
浅子のために色を和弘に選んでもらい、
紅い口紅に交換する。
タズの一生は、
戦争を過ごし、
威張っている夫との間に3人の子をもうけたが、
二人を亡くし、
長女とは不仲で、
苦労をしてきた。
そんな中で、
淡い初恋を思い出す。
初恋の相手は、
タズの女友だちの好きな人で、
和弘に似ていた。
「十三年目の子守唄」
母親は、
息子の俺よりも若い男を連れてきて、
結婚すると言う。
その男はもう半月も我が家にいる。
お袋は料理屋をしている。
あいつは使用人や弟の雅彦やオレの彼女の京子まで、
味方につけてしまった。
オレはバツイチでこの家に出戻ってきた。
居候の身で威厳がない。
年の離れた雅彦はお袋の子ではない。
本当の母親が父親のこともバラしてしまった。
俺に話したお袋の話はでたらめだった。
本当の父親のことを知らないのは俺だけだった。
息子と父親の関係がいくつも書かれている。
雅彦の父親、
お袋の連れてきた男とその父親との関係。
「ピエロ」
美容師をしている妻は男と会っていた。
「俺ならいいよ」が夫の口癖。
夫の計作(けいさく)は妻に優し過ぎる。
結婚して、
妻が美容院を持ちたいと言ったら、
その夢のために、
自分は会社を辞めてしまう。
客が入らなくて、
いよいよ諦めようとした時には、
髪結いの亭主のようにしながら、
近所から客を連れてきてくれた。
こんなにいい夫なのに、
いらいらして、
男と会ってしまい、
会って浮気をしたと言ってしまう。
それを聞いて計作がした行動は?
いい亭主なのに、
浮気をする気持ちがわからない。
これも男目線の話のような気がする。
女はこのくらいのことで浮気をしないと思う。
自分の居場所を守る生き物だと思う。
「私の叔父さん」
東京で暮らしているカメラマンの構治の家に、
姪孫(まためい)の夕美子(ゆみこ)が来た。
「おじさん、私の母さんのこと愛していたでしょう?」と突然言ってきた。
姪の夕季子(ゆきこ)も18年前に東京の構冶の家に来た。
18年前に夕美子を産んだ母親である。
交通事故で子どもを産んで4ヶ月後の18年前に亡くなった。
夕季子も構冶も好き同士だったが、
血縁でお互いに告白できなかった。
告白しても冗談のように否定するしかなかった。
夕季子にそっくりの夕美子が見つけた秘密の写真で、
実家の家族に言ってしまう。
二人はどうなるのか?
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