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評価:
重松 清
新潮社
¥ 1,680
(2007-07)
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重松清の本は割と多く読んでいます。
でも 感動した本や好きな本はありませんでした。
読みやすいし流行っているから読んでいました。
今回も期待せずに読み始めましたが、最初の話から引き込まれました。
8話の短編小説です。
最後の『カッコウの卵』はぼろぼろに泣いてしまいました。
中学校の国語の非常勤講師の先生と教え子の物語です。
村内先生は吃音です。
カ行やタ行や濁音はどもります。
顔を真っ赤にして一生懸命話します。
一人ぼっちの子に、
「間に合ってよかった」
と言います。
心からの優しさがひとりぼっちの寂しい子の心を救います。
『ハンカチ』
家では話せるのに学校では話せない、
場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)という症状の女の子の話です。
ポケットの中にはいつもハンカチが入っています。
ぎゅっと握っています。
この症状の子を実際に二人知っているので、
珍しい病気でもないようです。
卒業式では、クラスで卒業の言葉を割り当てで言います。
卒業証書授与では返事もあります。
本人は当日は学校を休むつもりでいますが、
先生やクラスの人はどうするのか気になっています。
臨時の担任の村内先生も名前を呼ぶ練習をしますが、
PTAの反対もあって、
元の担任がその日だけ来て名前を読むことになりました。
この話も最後は感動です。
『ひむりーる独唱』
草野心平の詩集の中に「ひむりーるの詩」があります。
友達のいない主人公が、
アーミーナイフを学校に持ってきて先生を刺してしまいます。
夏休みに預けられていた祖母の家で蛙を112匹も殺すような子です。
先生が訴えないので釈放されて学校に戻ってきます。
その時に村内先生と会います。
先生の救い方は感動するようなものではありませんが、
心に届くようです。
『お守り』
交通事故の被害者と加害者の家族の話。
立場を変えて考えると思いやりも出てくるかもしれない。
しかし、現実は自分の方からしか考えられないのが普通だ。
バスケット部に所属の中学生の女の子の話です。
おまもりは父親が買ったものです。
村内先生に会ってから、
勇気を出して一歩行動に出ます。
『青い鳥』
いじめで自殺を図った子のいるクラスの話。
父親の経営するスーパーの品物を持ってくるように言われる。
クラスのほとんどの子が罪の意識を持たずに彼からの品物をもらう。
いじめられていた野口君は首つり自殺を図るが、
母親に発見されて助かり 転校していく。
主人公はそのことを後悔している男子。
村内先生と話をして、野口君のことをたくさん考える。
以前強制的に書かされた作文を書き直す。
『静かな楽隊』
中学受験を失敗して公立中に来た勉強のできる女の子。
我がままで意地悪で取り巻きがいる。
その子の小学校からの同級生の女の子の話。
緊張しすぎていつも失敗する女の子。
古いカスタネットにセロテープを貼って音がでないようにした物を
ポケットに入れている。
村内先生のドモリ方とリズムが合う。
『拝啓ねずみ大王さま』
父親が鉄道自殺をした男の子が主人公。
父親が死ぬ前にハムスターを買ってくれた。
3人家族が2人家族になってしまった。
私立中だったが、公立中に転校した。
勉強はよくできる。
学校にはなじめない。
マラソン大会や、クラス対抗ムカデ競争がいやだ。
村内先生と話して少し変わっていく。
『進路は北へ』
エスカレーター式の私立学校の中で、
いじめを受けて、ひとりの女の子が転校した。
それからその子の事が気になって、
この学校がいやになる女の子が主人公。
公立の高校を受験する事にする。
学校の担任は受験に反対だが、
村内先生が助け舟を出してくれる。
『カッコウの卵』
村内先生の教え子で、
卒業した男が先生を見かける。
是非自分の家に来てもらいたくて先生を捜す。
不器用な男で事件になりそうな所で村内先生に会える。
感動の物語です。
ぼろぼろ泣ける物語です。
ぜひ、 オススメします。
特に学校の先生に読んでもらいたいし、
映画やドラマになるといいなと思いました。
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