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2008.04.29 Tuesday
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夜明けの街で
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厚い本なので読むのに時間がかかりましたが、
最後まで引っ張っていく書き方が、上手です。
何の不満もない平和な家庭の男が主人公です。
浮気など自分には関係ない話と思っていた男が、
不倫から抜け出せなくなっていきます。
可愛い娘と何の不満もない妻の家庭を、
壊したくないと思いながらも流されていきます。
不倫の話に殺人事件も絡んできて、
犯人が気になってくるし、
話の持って行き方が、
この作者はとても上手です。
最後までドキドキしながら引き込まれてしまいました。
東野圭吾の小説でがっかりした小説にまだお目にかかったことがありません。
主人公は昔からのいい友人を持っています。
その友人が、
自分の体験から不倫はやめろと言いながらも協力してくれます。
PS・はこの友人の不倫体験記が書かれています。
不倫にあこがれる人はこの小説を読んで擬似体験して下さい。
すごく本当らしい話です。
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2008.04.06 Sunday
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がんばらない (集英社文庫)
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ブログに感想を書きました。
「がんばらない」の方が先にできた本です。
鎌田實の家は貧しい家だったようですが、
自分で生活費を稼ぎ、
国立大の医学部を出て医者になったようです。
子供の頃に母親が心臓病で入院をしていたそうです。
病院の様子を子供の頃に見ていたり、
シュバイツァーや、北杜夫やクローニンにの本に憧れて、
恵まれない人に優しい医者になろうと思っていたようです。
人間を人間として尊重しない医療の話をテレビなどで聞きます。
心が痛くなります。
鎌田實は心のある医療をめざしているので、
優しさが本から溢れています。
本の内容は、話が飛ぶので解かりにくい所もありますが、
たくさんのエピソードは心をうたれる内容です。
何度も泣きました。
最期を迎える時、
本人や家族の立場によって考え方が違います。
自分の母親の最期の時、
息子としては、管を通して何日か長生きさせるより、
このまま楽に死なせたいと思いましたが、
父親は1日でも長生きさせるのが当然だと言いました。
管を通して生きた数日で、
父親は妻の看病をして、
悔いのない看取りをして、自分を納得させました。
残った人の心のケアも大切です。
どれが一番正しいかはありません。
「答えは一つではないのではないか、ということを学んだ。」
とありました。
たくさんの経験をして、
心を学んだ人だからできる医療だと思います。
家族の中に、
痴呆症の老人や、がん患者がいる人は読むことをオススメします。
生きる意味や、自分の生き方について考えられると思います。
山根のばあが死の床で、
「先生にビールをやっておくれ」と言ったエピソードで泣きました。
介護をしたお嫁さんに蒲田院長先生がかけた言葉、
「ほんとうによく看てあげたね。
ぼけてから7年、おばあちゃんも大変だったけど、
床ずれひとつなく、こんなにいい顔であの世に行けて、
ばあちゃんは幸せってもんだな。
長い間ごくろうさま」
正月も病院をまわってスタッフや患者にあいさつしてまわる院長先生。
外来は救急患者で目が回る忙しさで昼食も取れない先生たち。
同じ病院の老人保健施設の方はのんびりしていて、
鍋会をすると声がかかる。
鍋会をする案を出したスタッフのことも関心して褒める。
凡人だったら、「外来は忙しいのに何をのんきな事を言っているんだ」
などと怒鳴りそうだ。
そんな風に言わない、寛容で優しい鎌田院長の一面だ。
手術が成功しても生きる気力のなくなった患者には、
同じ病気同士の会を作るなど、
いろいろの試みをする。
それは院長のアイデアではなく、
スタッフの優しさからでる案が多い。
それを認める院長の寛大さもいいと思う。
靴のまま病院に入れなかった頃、
玄関で履物を預けると、
「ごくろうさまです。」
帰りには、
「おだいじに」
と言ってくれる係りの人がいました。
その人は脳腫瘍の手術を2度受けました。
回復して働いていることは同じ病気の患者さんの励みになります。
心に残るエピソードがたくさんありますが、
書ききれません。
ぜひ読んでください。
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2008.04.04 Friday
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マザコン
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8編の短編集です。
最初の2編を読んだら気が滅入って読むのを止めました。
しばらく経って気持ちが落ち着いてきたので、
他の短編も読みきりました。
全体に「暗い」、「重い」です。
「空を蹴る」
ナンパした女と熱海行きの電車の中からストーリーが始まる。
金が無くて、
もうすぐ取り壊される実家に忍び込んで金目の物をとって、
質屋で換金するような男が主人公。
金が入るとカラオケで使ってしまうような男。
母親は認知症で入院中。
会いに行ったが、
亡くなった夫のこともわからない。
ストーリーは全て、
ダメ人間の男か女。
子どもの頃からの母親との関係が根底にある。
「雨をわたる」
母親が一人暮らしのマンションを売り払ってフィリピンに移住した。
主人公は女。
兄がいる。
二人とも独立している。
母の暮らすフィリピンに行ってみた。
なぜ母がフィリピンを選んだのか。
男がいるためか。
母は日本にいる時愚痴しか言わなかったのに、
ここは楽しいとか、良い事しか言わない。
演技なのかどうなのか、母の事がわからない。
明るさがまるでないこの話を読んだら落ち込んでしまった。
「鳥を運ぶ」
一人暮らしの母が入院して、
家にいる六羽の鳥の面倒を見てくれという。
病院では看護士に自分は天涯孤独だと言っていたそうだ。
主人公の女は家が遠いので、
シュークリームの箱六個に一羽ずつ入れて電車で運ぶ事にした。
なぜ、カゴごと運ばないのか事情がよくわからない。
一人では出来ないので、
離婚した元夫に手伝ってもらう。
壁に血が飛び散っていたとか、
ひとりでに動く箱や、
一つだけ動かない箱を想像すると気持ちが悪い。
この話の女も年老いた母親との関係もおかしいし、
夫とうまく生活できない所に母親との関係がありそうだ。
「パセリと温泉」
元中学校の教頭で、
家では何もしない父親の愚痴を
娘に言っていた母親が胃癌で入院し、
認知症になった。
この話も暗い。
女が主人公で愚痴ばかり言う母親が出てくると、
友人を思い出して憂鬱になる。
彼女もいろんな不幸を背負っている。
母親の事を唐突に話してくれたことがある。
彼女を思い出すと、
母親の存在は大きいとつくづく思う。
母親は前向きな人がいい。
子どもには油断して愚痴を言い過ぎないで欲しい。
「マザコン」
男が主人公。
マザコンは妻の方。
夫との食事より母親との食事のほうが多い妻。
年上妻のわがままに嫌気がさして浮気をしてしまった。
「ふたり暮らし」
姉妹ふたりの姉が主人公。
夫に浮気され出て行かれた母親とふたり暮らしの姉。
妹の方は母親に嫌気がさして早くに家を出て、
結婚して子どもも二人いる。
結婚の話が持ち上がると壊す母。
この母子関係も異様。
「クライ、ベイビイ、クライ」
小説家志望で、
出版社にだまされて、
妻に逃げられた男が主人公。
子供の頃に自分を捨てていった母親との心の関係が根底にありそう。
「初恋ツアー」
夫の母親が一人になって寂しそうなので旅行に誘う。
三人での旅行は北海道になる。
母親の初恋の人探しの旅。
その旅で、義母のおかしな面を見ていく。
大切にしなければいけない人が誰か気付く結末は他の短編よりいいかな。
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