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評価:
井上 荒野
新潮社
¥ 1,512
(2013-10-31)
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「ほろびぬ姫」は井上荒野の小説です。
井上荒野の小説を読むのは3冊目です。
井上荒野は「いのうえあれの」と読みます。
1961年生まれ、調布三中、玉川学園、成蹊大学出身です。
井上光晴の長女です。
主人公のみさきは新時という夫がいる。
新時(しんじ)には盛時(せいじ)という瓜二つの双子の弟がいる。
ずっと離れ離れだったが、
夫が弟をやっと探した。
夫は癌に侵されて、
余命いくばくもない。
手の施しようがないので、
ホスピスに入院する。
夫は自分の死後、
妻が弟と結婚して欲しいと望み、
弟を探し当てた。
姿かたちは似ていても、
兄弟は性格が正反対だった。
夫婦というものの実態や、
一緒に経験した記憶が本物か、
夢幻であったのか、
私にも時々、
わからなくなることがある。
その部分を白い乳白色でおおわれた記憶のように、
表現している部分が、
共感できた。
生きてきた記憶は、
本当に実体のあるものだったのだろうかと思うことがある。
私は昼間働いている夫のことを見たことがない。
私が一緒に暮らしてきた人はずっと同じ人だろうかなどと、
SFぽく考えてみることがある。
生きていることは時々物語の中のことのように思うこともある。
JUGEMテーマ:
小説/詩