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評価:
藤岡 陽子
光文社
¥ 1,728
(2014-07-18)
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藤岡陽子さんの短編小説です。
泣きたい時に読むのにお勧めの小説です。
短編集なので、
すぐに読めるところも忙しい人におススメです。
「波風」
看護学校時代の同級生の二人が、
30代になって、
人生を考えある決心をして、
元同僚の医師を訪ねて沖縄に行く。
彼は沖縄に行く前に、
プロポーズをしてくれた医師。
その時彼女は仕事を取り、
沖縄にはいかなかった。
タイミングってあると思う。
「鬼灯(ほおずき)」
母の手術の日、
母の二番目の夫は、
鬼灯を買いに浅草寺に出かけた。
鉢を持って帰ってきた男に、
母とのなれそめを聞いた。
男の手は大工の見習い中に、
機械で切って右手の指を失った。
手術後顔を洗ったら、
水がこぼれた。
しあわせも一生こぼれてしまうと思った。
そんな男がさちの薄い母と知り合って、
結婚した。
父は自殺だった。
「月夜のディナー」
主人公が子供の頃に、
母が新しい男と結婚した。
新しい父親は、
弟と主人公を可愛がらないで、
新しい弟ばかりをかわいがった。
夫を亡くしてから、
苦労をした母は、
味方してくれなかった。
家出をしたら、
父の妹が引き取ってくれ、
弟と二人を育てあげてくれた。
弟が結婚式の前日に、
おばちゃんと私を中華料理に招待してくれた。
帰り際に追いかけてきた弟が、
おばちゃんに言ったせりふに泣けました。
「テンの手」
この小説が一番心に残りました。
野球少年の友情の話。
天才のテンというあだ名で呼ばれていた彼のことが、
かわいそうで、
つらいです。
テンの一生を思い出して、
読み終わった後も心が痛いです。
もっとテンに優しい物語にして欲しかったと思いました。
主人公の目線が不満です。
もっとテンに優しくして欲しかったです。
実在の人のように、
心に残ってしまいました。
こういう小説はドラマ化したらいいかもしれない。
「結い言(ゆいごん)」
倉島さんというおじいちゃんが亡くなった。
着付け教室で知り合った仲間が、
お葬式に行った。
倉島さんが男なのに、
着付け教室にいたというのが話として無理があると思った。
それでも理由をこじつけて、
いい話に持って行った、
作った話のようであまり好きではない話です。
「真昼の月」
主人公は町田という老人ホームで働き始めたオタク風の男。
入院患者の娘の、
横沢ユリというきれいな人に憧れる。
ところがユリの正体は、
ちょっとびっくりな話の流れです。
読んでみてくださいね。
「デンジソウ」
最後の小説がこれでよかったと思いました。
ハッピーな涙を流せました。
デンジソウというのは、四葉のクローバーに似た植物だそうです。
後でネットで調べてみようと思います。
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