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乱反射

評価:
貫井 徳郎
朝日新聞出版
¥ 1,890
(2009-02-20)

貫井徳郎の小説です。
この本の説明に子どもが事故で死ぬ事が書かれています。
各章には数字が書かれていて、
登場人物の事情が綴られています。
その番号が、
普通は1から始まると思いますが、
この本は、
−44から始まっています。
0で終わりかと思ったら、
1から事件が始まります。
登場人物はあまりにも多く出てくるので、
混乱してきます。
私はメモ用紙に登場人物の名前と簡単な説明を書いて、
メモを見ながら読みました。

−44は子どもの家族です。
−43から事件に関わった人たちが登場してきます。
みんな悪気はないのですが、
小さなエゴを持って行動します。
日常でやりそうな小さな自分勝手です。
そのことが小さな命を奪うなんて考えもしないで迷惑行為をします。

例えば、泊まりの旅行に行く時に、
ゴミの日が出かける日でなかったら、
高速のパーキングエリアのゴミ箱に家庭ごみを捨てます。
一回だけだからいいだろうと言い訳を考えます。

例えば、
犬の糞を始末しないで、
同じ場所にさせます。
自分は腰痛でかがむと激痛が走るから仕方がないんだと自分に言い訳をします。

例えば、
市役所の職員は苦情処理の仕事は大学出の自分がやる仕事ではないと思いつつ、
手抜きをする。

他にもたくさんのエゴイストが登場します。

子どもの親も同じようなエゴイストで、
事件現場に取材に行った時に、
自分の子どもとわかる前と解かってからでは、
取材の仕方も考え方もまるで違います。

子どもが事故に遭う場面は、
グロテスクな表現ではなかったですが、
読むのは恐かったです。
テレビの録画のように早送りで読みたかったです。

この内容は、
現代の日本人に考えて欲しい内容なので、
テレビや映画になるといいなと思います。
その時は、事件現場は早送りで音を消して見たいです。

誰かドラマにして下さい。


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posted by: 本の虫 | 小説(作者な行) | 11:38 | comments(1) | - |

平成大家族

中島京子の小説です。
主人公は歯科クリニックを2年前に退職して、
隠居生活を送っている72歳の緋田龍太郎です。
妻の名は春子。
子どもは3人いて、
長女の柳井逸子、次女の緋田友恵、長男の緋田克郎です。
長女の家族は、夫の柳井聡介と中学生の長男さとる。

長男と姑と夫婦の4人で静かに暮らしていた所に、
どんどん住人が増えてくる。
各章ごとに読んでいくうちに家族構成や事情がわかってくる。

「トロッポ・タルディ」
英語だと「too late」のイタリア語だそうだ。
ここでは克郎、逸子の家族、友恵の事情を大まかに説明している。

「酢こんぶプラン」
友恵の妊娠などの事情が書かれている。
友恵は編集の仕事をもっていて、離婚したばかり。
手作りの酢こんぶはつわりに効くと春子が信じている物。

「公立中サバイバル」
親の事業の失敗で名門私立中から公立中に変わったさとるの話。
さとるが考えた公立中でいじめにあわないで無事に過ごすマニュアル。
 一、できるだけ、目立たないようにする。
 二、発言するときは、ちょっとした笑いをとる。
 三、誰にでも、愛想よく。
 四、身だしなみは清潔に。
 五、答えがわかったからといって、手を挙げない。
 六、いじめには加担しないが、いじめられっ子とは距離を置く。
 七、近づきすぎる相手とは、距離を置く。

学校の先生はグループ分けの時、
「好きな人と組む」
というのをやるけど、
最後に余った人が必ず出る。
それが仲間はずれにされている子になる。
わが子の頃は、
代表の子がグループの数だけ前に出てきて、
その子が好きな子を選んでいく。
この方法がよく使われていた。
最後まで残った子の気持ちを先生はどのようにとらえていたのか、
私はあのグループ分けをいつも疑問に思っていた。
この話の体育教師は背の順できめていたので、
さとるはほっとしていた。
女子の方では、
二人組みになる時必ず、一人になってしまう子がいた。
それが藤代美緒だった。
女子の先生はどうしてあれを認めてしまうのだろう。

「アンファン・テリブル」
逸子から見た息子についての話が中心。
両親や友恵との会話。
アンファン・テリブルとは、
ジャン・コクトーの小説の題名「恐るべき子どもたち」から来ている。
龍太郎の台詞「・・・恐るべき子どもたち、か。アンファン・テリブルというやつだ。」

「時をかける老婆」
春子の母親のタケのこと。
認知症があって、春子とヘルパーが介護している。

「ネガティブ・インディケーター」
ひきこもりの克郎のこと。
幼少期のころの話も。
インターネット株を始めた。
甥のさとるのことは気にかけている。

「冬眠明け」
ヘルパーの皆川カヤノとの話。

「葡萄を狩に」
柳井聡介の話。

「カラスとサギ」
囲碁の意味。
白と黒。
龍太郎の囲碁仲間の川島元教授と春子の話。

「不存在の証明」
友恵の赤ん坊の緋田健太郎の戸籍の話。
離婚してから300日以内に生まれた子は前夫の戸籍に入るという法律から。

「我輩は猫ではない」
龍太郎の話。

三人の子どもは、
ひきこもり、シングルマザー、破産など普通から考えれば大変な状況だ。
最悪な家族事情が見方を変えればまんざらでもないし、
見る人によって違う見え方になる。
人間関係で悩んでいる人は読むと前向きになれるかもしれない。

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評価:
中島 京子
集英社
¥ 1,680
(2008-02-05)

posted by: 本の虫 | 小説(作者な行) | 09:12 | comments(0) | - |

裏庭 (理論社ライブラリー)

作者の梨木香歩の「西の魔女が死んだ」も読みました。
梨木果歩はイギリスに留学して、
児童文学者に師事したので、
内容は児童文学のようなファンタジーも盛り込んだ話です。
この本を読むのは2度目ですが、
長い話なので読むのに時間がかかりました。
主人公の名前は照美です。
「テル・ミィ」は英語で「話して」の意味に聞こえます。
裏庭の世界でフーアーユーと訪ねられて名乗ると、
「アイル・テル・ユウ」
教えてあげると答えられます。
そういう訳でテルミという名前に意味があるとわかりました。
日本の大きな屋敷の中にある裏庭(この物語では異次元の世界のような所)の話です。
この屋敷は外国人の家族が住んでいました。
家族が外国に帰って、
空き家になっていました。
おじいちゃんたちの世代が子どもの頃からこの屋敷はありました。
裏庭は特別な人しか入ることができない不思議な世界です。
裏庭の入り口は屋敷の中にある大きな鏡です。
不思議な世界に入って活躍する話と、
現実の世界の家族間の愛情や感情の絡み合いなども盛り込んでいます。
現実の世界と不思議な世界との感情のつながりもあります。
私の感想は欲張り過ぎの内容のような気がします。

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posted by: 本の虫 | 小説(作者な行) | 21:08 | comments(1) | - |